活殺!きんたまつぶし


第二話・絶対防御!?きんたまプロテクター!


「ギニャー」

 荒んだ世の犠牲者はつねに弱き者!不衛生なスクラップ工場で少女は太った工場長に鞭打たれながら働いているのだった!

「ハタラケハタラケ!働いて利益を生め!金を作れ!働かざるもの食うべからず!楽にならざる我が暮らし!じっと手を見るセーメー線!金は愛も野望もものにできる現代の魔術なりや!金!金!ギブミーマネー、ギブミーマネー!ウヒホヒホヒホヒホヒホヒホヒーーーーー!ピシーピシー」
「ギニャーヒドイ仕打ち!」

 ムチの連発によろめき倒れる少女A!

「工場長!あんまりです!このままでは死んでしまいます!あたかも無力な子羊が凶悪な狼にかみ殺されるように!」
「うっせパカ はむかうとお前もこうだぞピシー」
「ギニャー」

 助けに入った少女Bにもようしゃないムチ!

「ああ誰か助けて」

 薄幸なる少女たちを見下ろす工場長の笑い声が、スクラップ工場の錆びた金属音ときな臭さに交じり合う!ああ、正義は、神は、労働基準法はどこに!

「そのへんにして奥菜恵」

 おお、神も労働基準法もないが、正義はここにあった!

「ああっ」 「あの人はっ」
 少女たちの機械油で汚された顔にいちまつの笑顔!
 なにを隠そう、そこに立っていたのは正義の人・玉袋ネジルそのひと也!

「なんだてめいは!」
「フッ、この青いローブと黒髪…知らないはずがあるまいて」
「知らない。お前のコードネームと目的はなんだ!」
「きんたまつぶし。玉袋ネジル」

 これはある漫画のパロディだが誰が気づくのだろうか!

「さては、そうか…!このへんで荒くれ者のきんたまをつぶしてまわるっていう女はお前か!ぐふふふふ…ぐふふふぐふふ…ぐふふふふ」
「その不気味な五・七・五の笑いはなんだ」

 工場長は茶色のズボンを脱いだ!

「ところで俺のきんたま見てくれ。こいつどう思う?」

 なんと!
 工場長は鉄製のパンツでがっちりと大砲と砲丸をガードしていたのであった!

「ああ、あんな鉄製のパンツががっちりと大砲と砲丸をガードしていてはさすがのネジルさんも手出しできないわ!」
「もう終わりよ!ジ・エンドよ!あたかも1999年7の月アンゴルモワの大王が人類を滅ぼすかのように!」

 少女たちから漏れるあきらめの声。

「ぐふふ、どうだ俺のきんたまプロテクター、略してきんプロスプラッシュスターは!初代、マックスハートと二段階のバージョンを経て強化された超協力プロテクターだぜ!」 

 勝ち誇ったように笑う工場長!
 だが…ネジルもまた笑っていた!はたしてその笑顔はどこからくるものなのか!?正解は次の台詞で明らかになるぞ!さあ、今すぐスクロールバーを下げよう!

「なにがおかしい!?」
「いかにくるみの殻が硬かろうとも、そこにくるみ割りがあればその硬さはユデダコのごとし!お前のくるみの殻はユデダコ同然よ!」
「ナニィ!」

 ネジルの親指・人差し指・中指に力が入る!浮き立つ血管!輝く爪!

「ヤー」
「むだなことを!」

 ネジルの伸ばした手がきんプロスプラッシュスターをがっしりと捕らえる。そして!

「ウグフォー!」

 きんプロスプラッシュスターがくだけ散った!と同時に、中のG・ボール兄弟もくだけ散った!

「ウググググ…ば、馬鹿なっ…!超合金で造られた厚さ3cmのプロテクターをいともかんたんに…!?」

 地面をかきむしりながら工場長がうなる。

「私の握力は常人のそれをはるかにしのぐ!こんなものは朝飯前、本気になればハッピーターンすら砕ける」
「硬っ ハッピーターン硬っ!ギギギギギ…絶命」

 工場長、DEATH & DIE!沸き立つ歓声!

「ありがとうございますネジルさん!」
「助かりました!職はなくなったけど!」
「本当に本気を出せばハッピーターンもつぶせるんですか」
「まあね。私がつぶせないものがあるとすればただ一つ」
「なんですか」
「キンキンに冷やしたあずきバー」
 ネジルの猛攻はとどまること知らず!


つづく!!!