活殺!きんたまつぶし
「女!欲情!!暴行!!!」第一話・美しききんたまハンター登場! 「タチケテ!」 荒れ果てた荒野で若い娘が六人の屈強な男に追われていた。だがここは猫の子いっぴき見つからない不毛にしてセキバクなる荒野!助けてくれる者などいなかった。 とそこへ身体を粗末なローブをまとった無法者が地平線のかなたより歩いて来る。娘、無法者に近づく。 「ヘルプ!助けてクダサイ」 無法者は意外にも女であった。紺色のフードの中で黒髪がゆれる。娘の必死の助けを請う声に、女は何も言わない。そこへ屈強な男どももやってくる。 「ヘッヘッヘェー!おいネーチャン!その娘こっちによこしな!」 「そいつを差し出さねえとオメーもヒドイ目にあうぜ!」 だが女は喋らない!そうあたかも『沈黙は銀』という至言を体現するかのごとくッ…! 「テメェ何とか言えよ!ええいしゃらくせえ、しゃらくせえって何だろうな、しゃらって臭いのかね、写楽祭ってイベントあったけどしゃらくさいとかけてるのかな、まあいいんだけど、しゃらくせぇ!二人とも殺してやるべヒャヒホホホホホホホホホホホホー!」 モヒカン頭(ベターですね)の男がポケットからピストルを引き抜いたそのしゅんかん! 「ナニッ!?」 ローブの女の手がすばやく動いた! その手はモヒカンの股間に伸びるや否や、硬く握り締められた!モヒカンのきんたまがヘビー・クラッシュ! 「グヒホホォッッ」 モヒカンは白目を剥いて後ろへ倒れた!仲間の男たちは何が起こったかもわからずうろたえる。 「ヤブヘビ!どうしたんだヤブヘビ!しっかりしろ」 「あの『ビックリスネーク』の異名を取るヤブヘビがいとも簡単にやられるたぁ、あの女いったい…ハッ!あ、あいつは!」 「知っているのかメッテルニヒ!?」 「あの女は何者なんだメッテルニヒ!?」 「いい名前だなメッテルニヒ!?」 メッテルニヒは焦りながらも、静かに語り始めた。 「あ、ああ…酒場で聞いたんだけどよ…最近このへんで、荒くれ者のきんたまをつぶしてまわる強ぇ女がいるって噂を…そいつは黒髪に紺色のフード付ローブをまとってて…そいつの名は…」 女はフードを下ろす。つややかなる黒髪が砂塵揺らす荒野の風にしなやかに揺れた! 「玉袋ネジル!」 玉袋ネジルは自分の後ろに娘を避難させ、五人の男たちとにらみ合う。男たちはいずれも荒くれた顔にたらりとつめたい汗を垂らしていた…。 その汗が頬を伝って地面に落ちた、その刹那! 「ヤー」 先に動いたのはネジル!! そして彼女が動いた時点で、二人の男はきんたまをつぶされていた! 「ドゥオッ」 「ダモゥッ」 きんたまを潰された男たちは地面に伏し、かつて我がキャノンボール兄弟が鎮座していたぶぶんを手で押さえていた。 「ガイガン!ダニエル!しっかりしろ!」 「おいっ、お前!後ろ!」 「え、うわぁぁ!」 仲間の心配をしているバヤイではない!ネジルは音もなく三人目(ヤブヘビもいれたら四人目)の背後に立っていた。 「ヤー」 「グワァッ」 あっけなく背後より伸びてきた手に、ふた房の琵琶は弾け散った。種を散乱させて。 「くっ、よくもヤブヘビを、ガイガンを、ダニエルを、ビッグジョンを!殺す!」 「次はお前だヤー」 ネジルの猛攻はとどまることを知らず!相手が刃渡り40cmの牛刀を取り出そうとも少しも臆さず!真正面に突き出された牛刀をするりと受け流し、すくいあげるようにあいてのきんたまを潰し上げる! 「グギョォー」 男、断末魔を上げて朽ち果てる! 残すはメッテルニヒ一人! 「残すはお前のきんたまのみなり」 「ひ、ひいぃっ!ごめん許して」 「いいよ」 「ありがとうサイナラ!」逃げるメッテルニヒ。ちなみにこのメッテルニヒ、のちに漫画界で成功を遂げ、『第二の手塚治虫』として漫画の歴史に新たな1ページを残すのだがもうこの小説も終わりに近いので、彼が漫画を通して描こうとした人類の愚かさ、そして美しさ、チェルシーのおいしさについては詳しく記さない。 こうしてネジルは六人の悪党をみごと撃退した!! 「ありがとうございます!」 娘が泣きながら礼を言う。 「うむ。しかしなんでこんなところを若い娘が一人で歩いていたの」 「それには深いわけが…話すと長くなります」 「じゃあいいや」 ネジルの前に敵はなし! つづく!!! |